Material

シルクプロテイン
Silk Protein

シルクとは、蚕の繭からとれる動物繊維であり、蚕が体内で作り出すたんぱく質を主成分としています。1個の繭からおよそ1000m程の糸が取れるため、天然繊維の中で唯一の長繊維(フィラメント糸)です。
繭には、野生の繭である「野蚕絹」と、養殖して作られる「家蚕絹」があり、家蚕は野蚕に比べて紫外線の影響を受けにくいため、黄変がなく真っ白な繭になるのが特徴であり、品質も非常に安定しています。

セリシンとは
Sericin

シルクの生糸は、フィブロインと呼ばれる絹糸単体(75%)と、セリシンと呼ばれるたんぱく質(25%)で構成されています。セリシンはフィブロインを包み込むように付着しており、繭の中の蛹を外的刺激(紫外線など)から守り、安全かつ快適に羽化させる役割を担っています。

セリシンンを工業的に精製する場合、生糸をアルカリ性の薬品で精錬し、科学的に付着しているセリシンを引き剥がして精製されます。セリシンのアミノ酸組成は、人間の肌の天然保湿因子(NMF)と非常によく似ているため、肌に馴染みやすく、肌のバリア機能を低下させる活性酸素の発生や、シミの原因となるチローシナーゼの働きを抑制する効果があります。
また、セリシンには「セリン」と呼ばれる保湿効果の高いアミノ酸が30%以上も含まれており、保湿や美白に優れた成分として知られています。

全国でも稀な自社養蚕

弊社では、本加工をはじめ、化粧品原料などに用いるシルクプロテイン抽出用繭を加工工場自社養蚕にて賄っています。海外産の繭では、一部漂白されたり表面を防腐処理してあったりなど、シルクとは関係のない成分が付着している可能性もあります。また、工業的に用いられるシルクプロテインは、抽出の際、強アルカリ性の化学薬品を用いることが一般的で、もちろん安全性は確保されていますが、薬品を用いないことをモットーとしている弊社では、自信のある高品質繭を原料とし、独自の方法でどの工程においても薬品不使用であることを徹底しています。

特殊な抽出方法

従来のセリシン抽出(低分子シルクプロテイン)
→絹糸や絹織物の加工の際に排出される精錬液から回収
(絹の精錬が主目的でセリシンは副産物)

・アルカリ性の薬品や熱を利用してセリシンを分離させるため液に薬品が残留する  可能性がある。
・変性や品質低下の原因になりやすい。

弊社セリシン抽出(高分子シルクプロテイン)
→養蚕から抽出まで一貫製造
 (セリシンの抽出が主目的で絹糸が副産物)

・抽出の際に薬品を使用しないため、中和工程も無く、溶液に薬品が残留する心配
 が無い。
・国内産(自社養蚕)の繭だけを使用しているので、海外産で懸念される漂白剤な
 どの心配が無い。

シルクプロテイン分子量
Molecular Weight Distribution

一般的な加水分解処理では得ることのできない高分子量のシルクプロテインが抽出可能。(最大350,000、平均分子量67,000)
高分子量であればあるほど、繊維や記事に対する付着が高く、耐洗濯性に優れています。

コラーゲン
Collagen

コラーゲンは人間のほとんどの器官に存在する重要な構成タンパク質です。コラーゲンは細胞と細胞をつなぐ役割のほか、細胞外マトリックスの環境を維持するのに重要な役割を果たしています。またコラーゲンは皮膚の重要な構成タンパク質であることから、皮膚代謝物にも用いられています。コラーゲンは動物間で非常に相同性が高いタンパク質で、免疫反応を起こしにくいとされている内因性物質であることから、様々な用途への応用が期待されています。

抽出
Abstraction

コラーゲンは水に溶けにくい繊維状で存在しており、素材として利用する場合、コラーゲンを適切な溶媒を用いて可溶化する必要があります。

化粧品業界では魚由来のコラーゲン(マリンコラーゲン)が流通しています。これは、以前まで主流であった動物性コラーゲンが、2001年に日本でも発生した狂牛病の影響や宗教上の理由で衰退していったためです。現在では様々な魚種のうろこや皮、うきぶくろなどからコラーゲンが精製されており、特に魚皮には20%以上のコラーゲンが含まれています。